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世界史探究の学習法(全レベル対応・2024年更新版)

世界史探究の学習は、全体像を掴むための通史のインプットが最優先です。その後はいろんな教材を使いながら、用語や年号を暗記して、因果関係を把握して、様々な問われ方に対応していく、と言うことの繰り返しです。そのため、まずは、通史を早く終わらせたいのですが…

学校の授業のペースでは受験に間に合いません

学校で習う世界史の授業は全範囲を同じように終わらないことの説明

まず指摘しておきたいことがあります。学校の授業では、受験直前の11月ごろになっても、全範囲の説明が終わりません。それどころかどんどん授業の説明が加速していき、説明が意味不明になり、プリントを配布されて説明したことにされ、実質、自力でインプットし直すしかない、という状況に追い込まれます。

こういう状況になるのは、公立高校であればほぼ確定だと思ってください。このため、自力で全範囲を学習する術を持たない人、あるいは、学校任せにしている人は、受験直前の12月になって、わざわざ近現代の参考書を1から読み直さなければいけないなんてことになったりします。

いや、うちの先生はそうではなかったよ、という話もあるかもしれませんが、それはむしろ運が良かっただけと言えます。自己の体験を一般化しすぎるのは誰でもありますから、そう言ってしまうことはしょうがないでしょう。

どの科目でもそうではあるのですが、特に、世界史探究は、主体的に学習を進める姿勢がなければ、入試で武器にはできません。3年生の夏休みまでには、自分で全範囲の学習が完了していて、入試問題の練習を繰り返し取り組めるように学習を進めましょう。私大専願なら尚更です。

★歴史教科の教科書傍用教材の使い方について

大前提

情報を一元化する!

紹介している問題集や参考書の量を見てもらうと分かるのですが、情報があちらこちらに散らばっています。

常に、すべての参考書や問題集を持ち歩く事はできません。そのため、自力でノートを作っていくか、または、市販のノート教材を使って、情報を一元化していく必要があります。インプット用のテキストや、一問一答に集約させる人もそれなりに多いです。

何に集約させるかは、好みで大丈夫です(以下のツイートのような、一問一答に全てを集約させる人もいます)。こうしておくことで、その一冊さえ持ち歩けば、いつでもどこでも、日本史が復習できます。受験生は、時間制限がありますから、こうした、無駄を生み出さない勉強の工夫をしてください。

あらゆる情報を一元化して学習をシンプルに

小道具が多いので、必要に応じて使う

具体的な参考書・問題集紹介を見てもらえればわかるのですが、世界史探究・日本史探究は小道具が多いです。特に世界史探究の場合は地域ごとの横断が難しかったり、地図問題が苦手な人が多いためそれらの関係の教材が入ると、どうしても多くなる傾向があります。

大原則は、教科書(インプット用のテキスト)、ノート(学校配布の世界史ノートでもOK)、資料集(学校配布のでOK)、問題集(学校で配られがちな10分間テスト「だけ」ではダメ)で対策できてしまいます。

みんな一問一答とか大好きなのですが、用語暗記は「ツインズマスター」レベルが完璧でないうちは「ツインズマスター」を完璧にすることを優先する方が点数が高くなります。

ですから、あまり難しすぎるものや、いろんな形での暗記に手を出すよりは、基本的なインプットが終わるまでは、「きめる!共通テスト」と「ツインズマスター」に絞って通史のインプット・暗記を行うことをおすすめします。

その後、演習していく中で、別視点の知識不足を感じたらやれば良いでしょう。

小道具に翻弄されるのはやめよう

やることはどのレベルでもあまり変わらない

共通テストも私大も国公立も、「出来事同士の因果関係やストーリーを覚える」が必要

世界史探究・日本史探究は単独で用語や年号だけを問われる問題はありません。必ず他の用語との関連、歴史の流れ・展開の中で問われます。

世界史探究は得点が上がりづらい科目

実際に、本気で勉強を進めていくと実感するのですが、世界史探究は、全ての範囲をある程度完成させるまでは、点数が上がりづらいです。

出てくる時代や地域の幅が広すぎるため、ちょっとやそっと覚えた位では、全く太刀打ちできません。全範囲の学習・標準的な問題でのアウトプット、が終わるまでは泣きながら進めて、淡々と知識を埋めていくしかありません。

まだインプットしてない範囲が出来ないのは当然です。それをやり切るまで辛抱強く勉強することを受け入れましょう。

全範囲の試験で安定してくると、勉強し続けていれば落ちなくなる

しかし、一方で、範囲が広すぎるために、マニアックすぎる知識を聞かれる事はそこまで多くはありません。各地域・各時代ごとにストーリーがはっきりしています。そこの展開を理解して暗記できれば、思い出しやすいのです。

そのため、世界史探究は、ある程度完成してしまえば、低すぎる点数を取ってしまうことが少なくなってきます。

補足ですが、難関私大の問題は、奇問悪問が出題されることはあります。とはいえ、それが合否に直結する事はありません。誰もが解ける問題と、合否に差のつくレベルの問題だけ解ききればよいのです。

世界史の点数の上がりづらさ、上がった後の下がりづらさについて説明

暗記ばかりしない!問題を解こう!

日本史探究や世界史探究の勉強をしていて、よくありがちなのが、テキストや一問一答ばかりやっていて、問題演習をほとんどしようとしない人です。

確かに、問題演習をすると、ほとんどの場合で、できない・わからない・覚えていない問題が出現します。あまり気持ちの良くないことでしょう。 

理解して暗記しても、問題文に対応して思い出せないと意味がない

しかし、上記でも説明したように、知識は知識のままでは役に立ちません。どのように問われるか、どのように説明するか、といった技術の部分を磨いていく必要があります。

世界史探究の全体像がわかればわかるほど、インプットが楽しくなることもあるでしょう。しかし、得点力を上げていくためには、問題にあたらなければいけません。怖がらずに、むしろ、間違えたものを、問われ方とセットで理解して覚えなおせば、本番で間違える可能性が少しずつ下がっていくと考えて、勇気を持って問題集に当たってください。

問題を通じて本当に理解しているか確認する

必要なレベルまでインプットを済ませてしまったら、あとは演習中心で逆算してインプットする

もしこれから世界史探究の学習を始めるという場合には、以下で紹介する、簡単なレベルの(と言っても結構量が多い)インプットの本を通読、あるいは予備校の映像授業などで一気にインプットし、分野ごとにツインズマスターを使った用語暗記と流れの把握を行い、その後は問題演習を通じて復習、必要に応じてインプットもしなおしてください。

私大対策の場合でも、まずは通史のインプットから始めなければ、知識の受け皿・引き出しができないまま暗記することになるのでおすすめしません。基本的な通史をまずやり切って、流れを抑えるのに必要な用語と年号を暗記してから、詳細な用語暗記・年号暗記に入っていってください。

そして、私大対策でも「インプットが全部終わるまで演習しない」というのはありえません。詳細な用語暗記・年号暗記に入ってからは、レベルに応じた演習材料を用いて演習も並行してください。

上にも書いたように、「どのように問われるか」をセットに覚えていかないと実力につながりづらいわけです。同様に、実力と目標との距離を測りながら、一問一答をやり切るモチベーションを沸かせましょう。 

世界史学習手順フローチャート

特に論述中心の人に注意して欲しいのが、全範囲のインプットが一通り済んだら、「全範囲を固める」ことと「論述の仕方」は同時並行で学んで行って欲しい、ということです。特に論述では、教科書的なシンプルな記述をそのまま適用できることが多く、「わかる」重視から「説明できる」ことを重視したインプットに変えていく必要があります。

もちろんその過程の中で、一問一答的な知識が足りないと気づけば補充してしまってよいです。しかし、一問一答をいくらやっても、やり方が悪ければ論述は得意になりません。どう知識を結びつければよいかが不明なまま用語と年号だけ覚えても使い物になりません。論述ができるための理解を、自分で実感するまでは論述の入門書を2週目以降のインプットと並行して進めた方が良いでしょう(世界史論述練習帳がおすすめ)。 

「要求された通りに説明できるほど覚える」のは、そもそもインプットの段階で意識して取り組まなければいけないことでしょう。ですから、まず通史をやるのは当然として、そのあとは「自力で語れるように」するために、演習と2周目以降のインプットを並行して行ってください。

世界史の学習法のまとめ

具体的な参考書や問題集

世界史探究は、最低限、インプット用のテキスト(教科書も含む)、資料集(地図や絵、写真で覚えるため)、世界史ノート(学校で配布されるもので十分です。自分で作成していくのも可)と問題集数冊があれば勉強できてしまいます。

ところが世界史探究は情報の整理整頓のために必要なものが、日本史探究と比べて立体的なので、多くなってきます。そのため、目的別の参考書・問題集を紹介していきます。定番の一問一答などもあります。

目的別教材

流れのインプット

まず「きめる!共通テスト世界史」から入るのが良いでしょう。よく言われる「ナビゲーター」ですが、教科書よりわかりやすいのはおすすめですが、手をつける人のほとんどが、長くて全4巻を全て読めてない(特に、中高一貫ではない地方進学校の人は相当歴史好きな人でないと、期間内に読みこなせないはずです)です。

これが難しい場合、または1・2年でまだ受験まで余裕があるから1〜2週間で全範囲見ておきたい、というレベルなら「世界史の勉強法をはじめからていねいに」や「教科書よりやさしい世界史」が良いでしょう。

また、文化などで役に立つ絵画や写真などの情報は資料集を使って視覚的に覚えるのが良いでしょう。

絶対暗記レベルの要点と用語の暗記

世界史探究の暗記、学校の授業では、何を覚えなければならないかが非常に曖昧にしか提示されていなかったり、先生によってはとても大量にあるように見えてとてもやる気が起こらないです。

教科書併用の暗記用問題集もかなり量が多かったり、簡単な用語や難しい用語が同時に並んでいたりして、流れを掴むということがどういうことかわからずに、細かい部分に目がいってしまいます。

こうした曇った瞳をクリヤーにするため、まず流れを抑えるのに必要な用語を、「ツインズマスター」で抑えます。1つの用語を、空欄補充と一問一答形式で暗記練習をする問題集です。何度も繰り返して、どちらの問われ方でも瞬時に出てくるよう、問いとセットで完璧に覚えてください。

どんなレベルを目指す場合でも、まず通史を一度やり通したのちにこのツインズマスターで最低限の用語と、それを穴埋め・一問一答問題を通してチェック&暗記してから、さらなる高みに行きましょう。

ツインズマスターの重要性の説明

一問一答は非推奨:まだ使ってないなら考え直せ

みんな大好き一問一答、正直なんでも良いのですが、ツインズマスターレベルのことを覚えた上で使う、という前提の元でお勧めするのは、それ以上の用語が網羅できる「斎藤の世界史B一問一答」です。斎藤先生が東進から移籍されてプライムゼミブックスで改訂版が出されていますので、そちらを使うのが良いでしょう。

ただし、基本的には一問一答は非推奨です。

理由は、「用語の暗記だけ」になりがちだからです。一部のできる受験生(この記事を探して読んでいる時点で、そうではないと思ってください)は、用語と年号を暗記するだけで、それらが有機的につながり、流れの把握ができるまで高まる場合があります。しかし、ほとんどの受験生は、用語の暗記もままならず、「流れ」の理解まで及ばないという事態に陥りがちです。

そのため、まだ一問一答を使っていないよ、という場合には「ストーリー重視」の暗記用教材を徹底するようにしてください。一問一答でそれができる、という自信のある人はもちろん一問一答でやってもらっていいでしょう。

どれを選ぶにしても、この教材を「情報の一元化」に利用することをお勧めします。なぜかというと、結局この教材に触れる時間が最も長くなるからです。ノートを作っても良いですが、そもそも持ってない、学校でも買ってない、という場合には、これを一元化の素材としてください。

ここからはツインズマスターが徹底できてからの話

年号暗記で順番整理

ツインズマスターは基本の用語暗記と、その多様な問われ方をマスターするものであり、年号の暗記には向いていません。そのため、以下の年代暗記法を併用して、年号はもちろん、年号を覚えなければいけないほど重要なイベントの前後で生じた出来事や関係者をまとめて覚えていきましょう。

地域ごと、ではなく、年代ごとに学びたい

こちらは「ツインズマスター」レベルの用語暗記が終わってからの話になりますが、試験対策をしていると「同年代に別地域で起きた出来事」を問われれる問題や、「別地域で起きた別々の出来事を時代順に並び替える」など、地域を横断した知識が問われる問題が出てくることがあります。

こうした問題に対応していくためには、①そもそも年号を暗記してしまう や ②同じ時代に世界規模でどういう流れが発生していたか を理解して覚えていく、という2通り、あるいは両方ともやる、という手段が考えられます。①年代については年代暗記方が、②については以下の「ヨコから見る世界史」がうってつけです。

時々、学校で同目的のテキストが配られる場合があります(世界史のWinstepなど)ので、その場合はそちらで代用できるでしょう。

地図問題対策

地図問題、対策する以前の問題として「ツインズマスター」レベルの暗記が終わっているかどうかの見極めが必要でしょう。

地図問題を特別対策する必要があるかと言われれば、地図問題ができない、と言っている人の大半は「地図問題以前に、地名を含む用語の暗記が足りていない」のがほとんどなので、まずはそちらが足りているかどうかの検証から始めてください。

足りている、ということであれば、ビジュアル世界史問題集で対策しましょう。

志望レベルを上げていくための教材

あれもこれもやりたくない人向け

紹介したように、様々な種類の参考書や問題集が必要になります。しかし、性格上、あるいは特性上、こんなに多くの問題集・参考書を持ち歩くことが困難な方もいるでしょう。

そんな方にオススメなのが、世界史の鈴木悠介先生が1人で書き上げたシリーズものの世界史参考書です。入門編、必修編、発展編と3部作になっております。入門編から始めてもらうと、暗記に必要な用語集などの小道具もたくさん揃っており、この1シリーズで十分学習できることがわかるでしょう。

世界史の学習の仕方が、私の説明よりかなり詳しく(用語集・資料集の使い方なども)書いてありますので、そういった点でもおすすめです。

より詳細なインプット教材

世界史でより詳細なインプットが必要な場合には、以下のテキストを使用していきます。世界史が好きな人や、現時点でインプットの仕方が確立できている場合には、きめる!センター世界史ではなく、いきなりこれから入っても良いでしょう。このレベルのテキストを読む場合には、資料集や用語集も徹底して活用してください。

入試問題集

これも、なんでも良いですが、世界史は出題範囲のばらつきがあるため、なるべく志望大学の傾向にそった範囲を優先してやった方が良いです(最終的には一通りやるにしても)。志望大学の出題傾向は、赤本などで解説されている場合があります(みなさん問題だけしか見ないのですが、赤本など過去問集には結構有用な情報が書かれている場合もあります)。

共通テストレベルの対策〜私大対策という幅広い学習がしたい場合には、レベル別の解説が充実している「ヒストリア」、難関私大対策だけなら、難問題とその解答に必要な知識や考え方がたくさん載っている「オンリーワン世界史完成ゼミ」や「実力をつける世界史100題」がお勧めです。

記述論述対策

上でも述べたように、ツインズマスターレベルのインプットが終わった段階で、2周目のインプットと論述練習を並行して進めてください。私大併願の場合でも、ここは日本史と違って論述と並行したインプットをやってください。

論述練習の最初の一冊には「世界史論述練習帳」を、それが一通り練習できてから、その他の入試問題を扱った問題集や過去問に入っていってください。私大併願の場合には2段階目の論述対策に入るのと同時に、私大対策の細かいインプットに入りましょう。

まとめ

以上のように、世界史それ自体は複雑な科目ですが、学習法自体はシンプルです。大変なのは「ツインズマスター」レベルで全範囲を網羅することで、そこまでいけば、あとは学習が進めやすくなります。

まず、全範囲の基本的な内容をインプットすることから始めましょう。

世界史の学習法のまとめ

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