難関大に向けた学習法を説明したいのですが、基礎固めすら怪しい生徒のことまで気にかけていると膨大な量になるので、以下のような読者想定を行っています。こんなに取れてないよ、という場合には入門〜基礎編へ、以下の画像から飛んでください。
また、逆転を狙うための勉強法は、逆転合格を狙うための記事でまとめようと思っています。ここでは、数学の勉強が順調な人が(そういう人はこういう記事を読まないとは思いますが)、歩みを止めずにさらに上を狙うためのやり方について書いていこうと思います。
想定:駿台ハイレベル模試などの「大学受験志望者」のみの模試で偏差値65以上(高1・2の場合は偏差値75以上)の高校生
ハイレベルにやれている人を、さらにハイレベルに行くための間違わない進め方
コンセプト:狙ってやることと、強者との出会いを求めること、両方やる
狙ってやること
インプットするレベルを高める
網羅型の問題集や、ピックアップ型の基本問題集、あるいは両方を駆使してそのレベルまで上がっていっていると思います。学校の教材だけでこのレベルに到達しているとしたら、だいたいは前者のみでしょうが。
さて、このレベルを嘘じゃなく受験での結果につなげようとした場合には、ただなんとなく問題文を読んで使うべき公式や考え方が湧き出てくる、という曖昧なレベルではなく、「どうしてこの問題に対してこの考え方を使うべきなのか?」ということを説明可能にして行く必要があります。
なぜなら、本番ではほとんどの問題が初見だからです。なんとなく記憶と一致させる、みたいな曖昧な取り組み方では歯が立たないばかりか、自分の入試結果を「偶然の出会い」に支配させるような動きでしょう。入試を甘く考えすぎです。確実に、受かるべくして受かるように、準備を進めましょう。
そのため、インプットする教材のレベルを上げていくのが1点目です。現在の入試までの期間と、今のレベルに応じて変えてください。
1対1対応の数学シリーズは、中高一貫進学高なら高1から、そうでなければ高2の段階で数学1から始めて行くのが良いでしょう。また、教科書併用の問題集で、簡単な計算や公式運用では初見でもさほど苦労しないということを前提とした方が良いでしょう。
問題自体は入試基礎レベルですが、解説が難しく、難問題で問われるような応用的な発想へ接続しやすくなっています。
この本を使う時には、解答が合っていたかどうかよりも、「解説を読んで、考え方が合っていたか」とか「書き方が合っているか」とか「そもそも解説のやり方が理解できるか」など、解説の読み込みに時間を使ってほしいです。
このため、使いこなすためには、すごく時間がかかります。高3になってからイキった受験生が取り組む、なんて舐めた真似をして欲しくないです。ただ問題が解きたいだけならもっと最適な問題集があります。
あなたが東大志望だろうが医学部志望だろうが、青チャートで十分です。赤チャートは選ばれしものの聖剣なので、イキった数学教師に買わされた残念な進学校の生徒たちは、どうせ課題で課されるであろう赤チャートに悶え苦しみながら、基礎部分の学習のために、涙を飲んでコンパクトタイプの問題集に移行した方が良いでしょう。
青チャートを使う場合には、問題から、必要な発想、必要な記述、と自力で問題から引っ張り出せるように練習することを忘れないでください。答えが合っているだけではダメで、説明可能にしなければ数学の問題集をやる意味がありません。
分野別に掘り下げる
分野別に掘り下げる場合には、なるべく丁寧なもので、かつ到達レベルが高いものを使いましょう。というのも、分野別に掘り下げていく場合には次の2通りのどちらかなのですが、詳しい+到達点が高いものであればどちらにも対応できます。
- 苦手で、振り返りたい
- 入試で武器にしたい
ここで紹介するのはあくまで一例ですが、表紙のデザインで侮らず、中身で判断する様にしてください。
分野横断型のテーマに取り組む(融合問題)
難関大学の問題というのは「融合問題」である場合が多いです。ですから、難関大学の問題は、分野ごとというよりも「テーマ」で掘り下げていく方が、攻略の観点からは適切だと言えます。
「テーマ」というのは、
- 最大・最小を求める
- 面積・体積計算
- 図形問題(微積、ベクトルなどが絡む場合も)
- 確率と数列と極限の融合
など、分野を超えた思考が必要だったり、そもそも複数の解き方が存在し、誘導にしっかり乗らないと迷子になる様な問題が多いです。ですから、扱われやすいテーマを学習しながら、実際の入試問題にあたり、自分で問題を前にしながら、適切なやり方を見抜く練習をしていきましょう。
分野横断型のテーマに取り組む(メタレベルで)
数学「だけ」をやるなら「大学の教養レベルでやること」まで切り込んでほしいですが、大学受験という都合上、そのステージに留まる必要はありますが(本当は、そこまでのレベルに達していれば受かってしまうんで、あんまり遠慮するないんですけど)、大学受験レベルでも、歯応えのある、頭をフル回転させなければついていけない話題はたくさんあります。
特に、数学で何気なく使っている証明や論証や論理を、もっと俯瞰的な、抽象度の高い視点から見直して行くことで、メタ思考を促し、問題読解にも強くなるでしょう。
以下に紹介する本はほんの一例であり、大きな書店や大学生協の「数学」のコーナーに足を運べば様々な本があるでしょう。数論や確率の入門教科書は個人的にお勧めです。
強者との出会いを求めよう
定期的な「難問題」への挑戦機会を作る
超難問だけを扱った問題集も、世の中にはあります。毎日の学習には向いていないのですが、目標とする難関大学の予行演習であったり、難問題を読み解くのに必要な考え方を少しでも覗き見たいなど、いろんな使い方ができます。
ここにきたら「赤チャート」はうってつけの教材でしょう。志望大学の過去問集も良いでしょう。丁寧な解説があるものを選びましょう。
難関大志望者や数学大好き人間が集まりそうな講座や合宿に参加する
学校にいる数学が本当に好きそうな数学専門の先生に、数学好きな難関大志望者が集まるイベントはありませんか、など聞いてみてください。もし数学好きな先生ならば、数学オリンピック財団が主宰する「JMO夏季セミナー」や、NPO法人数理の翼が主宰する「数理の翼」と言った合宿系のイベントを紹介してくれるはずです。
他にも、数学的な力の応用先として、プログラミングなどをゼロから立ち上げるための合宿もあります。
私は受験生の時、駿台箱根セミナーとか参加したり、季節講習はほぼ毎回行ってたけど、こういうのが当時あれば行きたかったなと思います。 #lifeistechhttps://t.co/2ZmedMeLvH
— 進路指導する人(Taichi Ishihara) (@zelonious) January 11, 2020
他にも、河合塾京都校や駿台予備校京都校が主宰するセミナーなど、特定地域の予備校が開催する難関大学セミナーなども強者が集まるでしょう。
私は駿台予備校が開催する「東大箱根セミナー」に、高3生の頃参加しました。そこで大いに刺激を受けて、勉強のモチベーションも上がりました。
最後に
この記事を読むのにふさわしい人は、あまりこの記事にたどり着かないのではと思います。なぜならすでに本気で勉強していると思うからです。
ですから、この記事はどちらかというとそこまで到達していない人が、どうしたらそこまで到達できるのかを模索するために読むのだろうなと思います。強くなるためには、強い人の行動を真似しなければいけません。
力は習慣であり、習慣は力を作ります。自分がある程度勉強ができるところに留まっていては、力の向上など望めません。どんどん自分を向上させていきましょう。