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現代文の学習法

現代文の力は、「センス」ではない

現代文は「伸ばせる」科目です。しかしなぜか「センス」の問題にして、苦手な奴は何をやっても伸びない、などと言ってしまう指導者・生徒が後を絶ちません。

確かに、現代文の勉強について本気でやっている人はそう見かけません。しかしながら現代文ほどやれば伸びる(試験で点数が取れる)科目はありませんから、やらないのはもったいないほどです。

現代文の学習において、できるようにすることは大きくいって2つだけです。

  1. 「目の前の文章を論理的に読む」
  2. 「出題者の問いに対して適切な形で答える」

このページではこの2つができるようにするために練習すべき参考書・問題集を紹介していきます。

なぜ「センス」の問題にしたがるのか?

確かに現代文は、他の科目と比べて「自力で(自分の頭で考えた文章で)説明をしなければいけない」問題が多いです。そこでは同じ内容でも書き方次第で伝わりにくかったり、スペースの都合で入れられなくなってしまうような書き方をしてしまう場合もあるでしょう。

しかし、こうした意味の「センス」は「書き方・作法」の次元に過ぎません。難関大学の数学や理科の記述答案でも必要になるものです。書く量が多いですから。「センス」の問題にするのは、単純に「書き方・作法」などを教え切れてない、教え切る「センス」が無いだけではないでしょうか。

さらに、そう言った物言いをする指導者は、言ってしまえば「読む技術」を磨くための指導もできてないということになるでしょう。文章やテーマに関する知識を多少分かりやすそうに説明することが、読解や記述に与する力を与えると勘違いしているのでしょう。

現代文で点数と取るためには「センス」は必要だが、それは生まれ持ったものという意味ではなく訓練によって身に付けられる程度のもの=スキルでしかない、ということです。その中身を明らかにせずセンスの問題にしている指導者の下では、実力はつかないでしょう。

具体的なやり方

中学レベルの現代文読解(国文法の復習)

ここを軽視する人がとても多い!

ほとんどの中学生は国文法を習います。またその中のほとんどの中学生にとっては、試験で時々聞かれる、普段は何も気にしてない面倒なもの、というぐらいの認識しかないと思います。実際に、学校や問題集の解説の中で、国文法を使って「どう読むか」の解説をされたことはほとんどないのではないでしょうか。

しかしながら、ほとんどの大学受験生が(とすると、当然高校受験生も)国文法をほとんど理解していない、中学レベルで習う語彙や論理的展開の暗記不足が理由で、国語がロト6になってしまっているのです。

「読めばわかる」「読めば解ける」は正しい

国語ができる生徒に、どうしてできるのか?と質問して、「読めばわかる」と言われて、鳩が豆鉄砲食らったような顔になった経験がある方もいらっしゃると思います。

実際、読めばできます。そう、ほとんどの人は「読めてないから国語ができない」はずなのに、「読めているけど解けない」と勘違いしているんです。安心してください、君たちは、そもそも読めていません。だから解けないのです。

心配なら中学レベルの漢字・熟語も同時に復習

中学レベルの国文法、および短文の論理展開の把握や長文の読解まで復習をしながら、心配なら中学レベルの漢字や熟語を復習しておきましょう。大学レベルの漢字練習帳でも出てきますが、このレベルを当たり前にしておかないと、高校レベルのものに進んだ時に、言葉の意味がわからなすぎて苦労します。

本格的な読解法の習得

さあ、やっと、高校レベルの現代文の勉強だ!でしょうか?

いいえ、違います。

まずは、日本語をルール通りに読み解いていますか?中学レベルの国文法を復習したことを踏まえて、自分の論理の力をテストしてみましょう。

まずは論理的読解に特化してOK=そもそも君たちのほとんどは日本語の文章を読めてないから

君たちのほとんどは、日常会話はできると思います。しかし、日常会話のほとんどは「動物の鳴き声」と一緒で、円滑にコミュニケーションが取れていることを確認し合うだけで、ほとんどの人にとっては、それ以上でもそれ以下でもありません。

日常会話ができているということがすなわち日本語が論理的に読めるということにはなりません。日常会話が完全に論理的である人はほとんどいないと思います。ここはほとんどの人が勘違いしています。

もちろん、話し言葉でも論理的に聞いたり話したりすることは可能ですが、そうできている人が、どれだけいると思いますか? ほとんどの人は「できる」と思っていますが、実際にはできていません。

まずは、「現代文とはどういう科目か」を学ぼう

さあ、このあたりで大学受験の現代文の話の概論に入っていきましょう。まずはこの本で、大学受験の現代文とはどういう科目なのか?何が要求されているのか?をマンガでつかんでいきましょう。

論理力トレーニング(難関大志望者はなるべくやってほしい)

大学受験を目指す人で、ここに踏み込む人はそうはいませんが、現代文で圧倒的に勝ちたい、小論文でも周りをなぎ倒すぐらい論理的な説明を理解したいし自分でも書けるようにしたい、という気概があるなら(例えば、慶應義塾大学文系学部志望者など)お勧めします。

私の指導の中でも、ここを掘り下げていける人はそうはいません。ただ、ここを避けてしまって、元々持っていた論理把握力が低い人が難関レベルまで解ききれずに苦労するのはよく見ます。難関大学志望者はぜひ取り組んでください。

語彙・テーマ・論理的読解をバランスよく

ここからはいわゆる「大学受験の入試問題」対策を始めていきます。ただやることは相変わらず「論理的に読む」ことと「問で要求されていることに対して適切に解答していく」の2点です。

現代文は、ほとんどのテキストが「問題集」「語彙やテーマの解説」「読解法の説明」の全てを兼ねています。純粋に問題集、というものは少ないですが、学校に通っている場合には課題で問題集を進めている場合にはそれを活用してください。

総合解説型=読解作法のインプット用の問題は各レベルで1冊ずつ、というのが基本になると思います。大事なことは「本で説明された考え方」を自力で、アウトプットの本を使ってできるまで練習する、ということです。読むたびに、元の読み方(頭の使い方)に戻っているようでは、現代文の学習を進めている意味がありません。書いてあることを書いてある通りに読みましょう。

まずは総合解説型の問題集を紹介します。

また、以下のようなものが問題演習の役割をもった問題集(アウトプット用)に該当します。学校の課題で問題演習が課される場合はこういったものはなるべくやらないようにしましょう。

これより下は難関大学(関関同立・MARCH、地域内の有名国公立大学以上、旧帝国大学)志望者向けです。

進めていくと、この辺りから問題のレベルが上がっていくのがわかると思います。難易度が上がっても、語彙習得やテーマの理解以外はやることは一緒で、目の前の文章を論理的に読む、問題の要求に沿って解答する、の2点です。

また、同レベル帯のアウトプット用の問題集です。

記述対策

国公立で記述・論述問題が出題される場合にはここまでやりましょう。この辺りまでくると、解説は「読めていることが前提として」問題集としての色が濃くなってきます。

様々なテーマ・語彙の習得

入試は時間との戦いです。確かに論理的に読むことができれば、読めるのは読めるのですが、文章中の語彙や話題について無知すぎては遅いです。知っている語彙が多いほど、テーマについて事前に理解しているほど、読解スピード向上につながります。

大学入試では様々なテーマの文章が出題されます。あらゆるテーマについて事前に十分に理解しておくことは難しいですし、そんなことは要求されていません。現代文で問われるからといって、難しい哲学の本とかそういったものを読む必要はありません。

そのため、こういったキーワード本を使って、効率よく入試現代文で問われる評論小説の用語やテーマの知識を概要だけでも良いので持っておきましょう。

ただし、「目の前の文章を読む」が原則

最後に語彙・テーマの本を紹介しましたが、これらを最後にしたのは理由があります。

試験は時間との勝負になることがほとんどです。ある程度内容について事前の知識があたり、出てくる語彙について正しい知識があることが読解の手助けになります。

しかし、実際にやることは「目の前の文章を論理的に読む」「出題者の意図に沿った解答を行う」です。語彙やテーマの事前知識に頼った読み方(つまり、目の前の文章ではなく頭の中と通信しているだけ)は、そのほとんどが引っ掛けになります。

まとめ

現代文の勉強は

  1. まず中学レベルでやるような国文法を含めた短文読解の復習
  2. その次に高校レベルの読解力の習得を論理トレーニングなどを通じて、必要なレベルまでインプットとアウトプットをやっていく
  3. 最後に、足りていないテーマの理解や語彙の習得を行う

というステップで進めていってください。

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