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「授業をしない塾」を立ち上げたワケ 自宅学習の質が学力向上を左右する

受験勉強のコーチングサービスを提供している学習塾のドリームラーナーズです。授業はやりません。学習方法と進路指導の二本立てで生徒を志望校合格に導いています。現役生から浪人生まで幅広い受験生を指導しています。指導は主にリモートで行っており、県内だけでなく県外の受験生にも利用者がいます。今回は、コーチングサービスに特化した授業をしない塾としてドリームラーナーズを立ち上げた経緯について塾長の石原が語ります。

受験勉強とは「何を」することですか?授業は本質ではありません

みなさんは「受験勉強」といえば何を思い浮かべるでしょうか。高校生ぐらいまでは学校で過ごす時間が生活の大半を占めるので、現役の大学受験生であれば「受験勉強=授業」と思う方が多いかもしれません。

しかし私は、「受験勉強」の主軸は「自習」にあると考えています。大半の試験において「学力=試験で得点する力」とは、自分の頭をきちんと動かすなかで鍛えられていくものだからです。

極論を言ってしまえば、授業を聞くことは「受験勉強」の本質ではないと思います。自宅学習のために必要な知識を授業でインプットしているようなイメージです。

自分自身が受験生だったころはどうかといえば、幸いなことに「受験勉強とは自分ひとりでやるものだ」という意識が自然と芽生えていました。「自習」の大切さには早くからきづいていたので、あれれと自分なりに工夫して取り組んでいたというわけです。

ところが、きちんと「自習」に取り組むことができない受験生が大勢いる実態に直面する機会がありました。それはNPO法人の運営する予備校で「館長」と呼ばれる指導責任者を4年間務めたときのことでした。

その予備校では教育者の一人として私も教壇に立っていましたが、授業を教えるだけでは学力がなかなか伸びなかったのです。彼らは授業態度もきちんとしていますし、「自習」にもそれなりの時間を割いているようでした。なぜ学力が伸び悩んでいたのでしょうか。

その原因について私はこのように結論づけました。現役時代に身についた受験勉強に関する誤解を、浪人に至ったそのときまで引きずっていると。そのため、授業をきちんと受けてもらうだけでは、現役時代を上回る結果を残せないと考えました。

このような課題を解決するため、生徒全員との個別面談の機会を作りました。学習方法を指導するための時間を設けたというわけです。

面談をしていくと、課題は学習方法だけでなく学習計画にもあるとわかってきました。心の燃えるような志望校を選択できていなければ、受験勉強に対する真剣味が生まれません。また、中堅大を目指すにも関わらず、難関大相当の勉強内容を選んでしまうなど志望校に合わせたレベルコントロールができていない生徒も大勢いました。そこで、学習方法とあわせて学習計画も指導していくことにしました。

面談の機会を導入したことにより、学力が伸び悩んでいた生徒もペースを取り戻すきっかけが得られたようです。彼らの多くが志望校合格を果たしていきました。このような経験から、受験勉強における指導の重要性に意識が向くようになりました

その後、「館長」の役目を終えてからは、現在のような授業をしない塾として再スタートを切りました。サービスとして授業を提供する塾はいくらでもあるからです。指導に特化することこそが求められているのではないかと思ったというわけです。

“問題を写す作業”で勉強した気になってはダメ 学習方法の誤解に気をつけて

「受験勉強に関する誤解」とはどういうことか。

まず「問題を解くこと」を受験勉強と捉えてしまっている受験生は少なくありません。言われたことをきちんとこなすような真面目な生徒ほど弊害が生じているように思います。それなりに時間をかけて勉強しているはずなのに、いまいち成績が伸びない場合、「受験勉強とは何か」という認識が根本的に間違っているかもしれません。

受験勉強の本質は「問題を解けるようになること」にあります。

問題が解けるようになるためには各単元の知識を使いこなせるように、ロジックの理解とキーワードの記憶を同時並行で進めていく必要があります。

さらに、理解と記憶だけでは問題を解けるようにはなりません。問題と向き合ったとき、問われている内容を把握して、適切な知識を自身の記憶から探り当てるといった力が求められます。このような思考プロセスが身につけば未知の問題にも対処できるようになります。

試験が終わったあと「未知の問題に対処できなかった。勉強量が足りなかったのだと思う。もっとたくさん練習して未知の領域をなくしていこう」と反省するのは大間違い。経験済みの問題に対処する感覚のままでは、勉強の効率はいつまで経っても向上しません。未知の問題にぶち当たったとき本当の学力が試されています。 

多くの受験生の勉強の仕方には「再現性」という観点が抜けているのです。私の指導経験から言えば、こうした学習方法の誤解に本心から納得してもらうのは容易ではありません。ドリームラーナーズでは生徒と粘り強く対話するなかで受験勉強の本質に気づいてもらうように指導しています。「解いた問題について生徒に説明してもらう」という手法はその一つです。

見たことのない問題に対処するためには、これまでやってきた内容が「抽象化=多くの問題に有効な、再現性のある手法・思考・枠組み」してインプットできており、目の前の問題も「問うている内容を抽象化して」いくことを当たり前に行う必要があります。

「この問題は●●を理解しているかどうかを試す問題だからこのような解き方をした」といった説明ができるようになれば“まぐれ当たり”で問題を解けた気になっている状態から一皮むけることができます。時間はかかりますが、未知の問題への対処能力はグッと高めることが可能です。

学習計画は「自己分析」と「目標設定」の両輪で

「受験勉強に関する誤解」にはもう一つの側面があります。的外れな学習計画にハマってしまうことにも注意してください。

例えば、誰かの真似で勉強内容を決めてはいけません。取り組むべき勉強内容は受験生ごとにそれぞれ異なっているものです。「自己分析」と「目標設定」に基づいて自分で考えて決めましょう。机上の空論でスケジュールを組み立ててしまうのはあまり意味がありません。

まず、教材のレベルを決めるにあたって前提になるのが「自己分析」です。基礎ができていないのに過去問に取り組むのは時間の無駄だからです。逆に、基礎は十分できているのに過去問に手を出さないのも間違っています。

次に、どこまで学力を伸ばしていくのか決めるためには「目標設定」が欠かせません。よくある勘違いが「難しい問題を解くことができるようになれば、それより簡単な問題に対処できるようになるだろう」という“大は小を兼ねる”の発想です。難関大と中堅大では問題文の性質が全く異なります。時間のない現役生でこれをやってしまうと取り返す時間が取れないため致命的です。

中堅大では「明らかにこの単元のことを聞いているな」と比較的わかりやすい問題が少なくないのですが、難関大では様々な単元がミックスされており、そのうえ一捻りを加えているので何が問われている問題か簡単には見破れません。受験勉強とは、難関大と中堅大で「競技が違う」と言ってもいいぐらいの差があります。そのため、目標が定まっていないと取り組むべき勉強内容を決められないので困ってしまうというわけです。

このように「自己分析」と「目標設定」は“両輪”の関係にあります。どちらかに落ち度があると学習計画は上手くいきません。そのためドリームラーナーズでは、「自己分析」と「目標設定」の両方をマメに確認しています。

「自己分析」は生徒だけでは上手くいかないため、サポートが必要なポイントです。生徒には、Web経由で学習記録を提出してもらっており、進捗度を把握するように努めてきました。そして、面談時に理解度を確かめるため対話を重ねていくというわけです。

「目標設定」では、そもそも生徒のほうが入試に関する知識を持ち合わせていないことが少なくありません。そのため、共通テストとは?二次試験とは?など入試の仕組みや学校ごとの違いについて知識を深めていきながら志望校を一緒に探しています。合格できそうな大学を一緒にチェックすることから始めたり、日常のなかで興味を抱いた大学について条件を一緒に確認したりといった流れです。

受験生は日々成長するものです。本来であれば「自己分析」も「目標設定」もマメにメンテナンスすべきですが、高校も予備校もきめ細やかな対応には限界があります。一方、ドリームラーナーズではリモートツールを用いていつでも相談することが可能です。きめ細やかな対応はドリームラーナーズの存在意義の一部だと考えています。

「小規模」のメリット 塾長が必ず指導します

受験生向けのコーチングサービスはだいぶ世間に定着したように思います。徐々に数を増やしており大手企業も出現しました。大手に比べればドリームラーナーズはかなり小規模です。しかし、私一人の体制でやってきたのでサービス品質の安定感には自信があります。必ず私が教えることになるので指導者ごとのレベルの差により期待したような成果が出ないといった心配がないというわけです。

逆にいえば、考え方が合わないと他の指導者がいないドリームラーナーズでは致命的です。そのため、今回の記事のように私の考えてきたことをしっかりとお伝えすることにしました。興味が湧いた方は、まずは初回無料の相談からお気軽にご利用ください。

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