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共通テスト英語の特徴と具体的対策(2024年更新版)

高校生、浪人生のみなさん、共通テストの英語対策、何も考えずにただ言われるがままに勉強していませんか?頑張ったら頑張った分だけ取れるんだ!というナイーブな学生は多いです。それは間違いです。頑張り方で差がつくのは、試験が変わろうが同じです。

ドリームラーナーズでは元々、読解のための英文法の習得を優先するように指導しています。この共通テストの変化を受けてもその方向性は同じです。つまり読解を鍛える、そのために英文法をまず習得する、この順番は変わりませんし、より重要になりました。

勉強の方針の結論については先に提示しておきます。

学習の大方針

それぞれの要素がどうして必要なのか、どうやって対策したら良いのかを、共通テスト英語の特徴をお話ししながら説明していきます。

問題の特徴

リーディング…長文読解のみ

①問題の説明自体も英語で書かれている②複数選択問題が出現する、といった、問題形式自体の難しさもありますが、いちばんの難しいところはそのボリュームです。

読み慣れてないときついボリューム

80分で10個ほどの長文を読みます。しかも、内容は、レシピやブログ記事や論説文やディベートの要旨など多彩です。

その合計で6000語程度読むことになります。長文と設問・選択肢合わせてです。センター試験が大体、文法やパラグラフ単位の読解も合わせた単語数でおよそ4000語でしたから、大体2000語アップしています。繰り返しますが、長文だけでそれだけ読まなくてはいけません。

さらに、2025年度の形式改定からは、設問がさらに増えることが予想されています。

80分で、合計6000字になる10個以上の長文を読んで、しかもそれを解かなくちゃいけない、となると、大体1分間に100語以上は読めなくてはいけない計算になります。6000÷80だと70程度で、解く時間を考えるとその1.5倍、と言うことで計算しました。

週末課題で300語ぐらいの課題を土日にやっと1つ読んでる、コミュ英ってやつで1週間でやっと1000語ぐらい進む、みたいなレベルの地方公立の高校1・2年生って多いと思うんですが、そんなんじゃ全然話になんないよ!ってことです。

コミュ英で新しい長文に入ったら、まず、完璧でなくても、それを一気に最後まで読んで、内容を把握してしまえるような体力が欲しいんです。やれますか?

逆に、普段たくさん読み慣れている人にとっては楽勝だと思います。しかし、読み鳴らすだけで文法軽視していると、痛い目に合います。これは後述していますのでそちらをお読みください。

必要語彙はそこまで変わらない

一方で、語彙レベルはそこまで変わりません。いわゆる英検2級レベル(ターゲット1900ならpart1-2レベル)を中心に完璧に覚えることがまず大切でしょう。レシピなど、生活に密着した場面もあり、そうしたところで出てくる単語は、よく使われるものでも、別の使い方も出てくることがあります。単語帳をやったのちに、予想問題などを通じて必要な単語をどんどん取り入れていきましょう。

満点を狙うなら、後述するようになるべく準1級レベルのリーディング(語彙問題は不要)まで読めるようにしておきましょう。準1級のリーディングは、準1級の語彙問題と比べても、無茶な単語は出してきません。

最初から「全部を読み切れる」なんて思わない

最初の方で「ボリュームがすごいから急いで読もう!」と読み取ったかなと思うのですが、実際のところ、「急いだところで読めないものは読めない」ので、「自分の今のレベルや目標点数に応じて、どこまで読み切るか、解き切るかを決める」のが重要になってきます。

そのため、模試・実践問題集を解く際には、「時間を測る」のはもちろんのこと、「わかって解ける」スピードで取り組んだ場合、どこまで到達できるのか?という調査を兼ねていると思って取り組んでほしいのです。

「全部を完璧に解かなくちゃいけない」「8割9割必要だ」という人は、受験生の割合から言えばほんの一握りで、ほとんどの人は「7割取れれば十分だ」という場合が多いでしょう。

大問1から4までを完璧に解ければ、それだけでほぼ7割です。そこまでで1ミス、2ミスでも、大問5、6は数字が2つか3つでも合えば7割には行くでしょう。

大問1からどれぐらいまでを「わかって解ける」範囲にできるかどうかが、得点率の鍵であり、7割で十分な人たちにとっては、大問4までが十分にわかって解ければ良い、ということをまずわかってください。ただし、そこまで到達するためにもかなりの勉強は必要です。

リスニング…形式の難易度が高いが、平均点は高め

①グラフや図表を伴う問題の出現②4人で行う会話③複数回答のある問題などの形式があります。前半ほど凝って作っている印象があります。

共通テストが始まって以降、平均点はリーディングと比べると比較的高めに出るように設計されているようです。大問1から大問4までの配点がおよそ7割になっていますので、ほとんどの人にとっては、前半の問題がいかに解けるかが勝負だと言えるでしょう。

後半の長い問題は1回しか読まれない

後半の長いパートは1回しか読まれませんが、実は「聞けてさえいれば」問題の難易度は高くありません。そもそものリスニングの力を増すことが一番の対策です。

学習計画の立案

大前提の単語と文法知識

私大の文法問題対策が必要だという方は別ですが、基本的に読むために最低限必要な英文法はそこまで多くありません。細かい文法はそれらを習得してから少しずつ覚えていけば良いので、急ぎません。

そのため、英文法入門10題ドリル、英文法基礎10題ドリルを、大岩の一番はじめの英文法 超基礎文法編 と一緒に進めてください。先に通読してからドリルに移った方が良いでしょう。ただ、ドリルを進めていく中でもっと詳しく英文法が知りたいときのために、総合英語のテキストを手元においておくことをお勧めします。

総合英語のテキストの一部を紹介しておきます。学校で「総合英語」と名前がついた本は一冊は買っているはずです。

英単語については、英検2級レベルがメインです。単語帳にはCEFRレベルが書いてあるものが最近は増えているので、それを頼りに決めると良いでしょう。英検2級レベルというのは、A2からB1レベルのものです。特に多いのはリーディングとリスニングともにB1レベルです。これは一部が英検準1級レベルですので、余裕のある1・2年生は準1級のリーディングに出てくる単語も抑えておいてください。

英文解釈の本については、リーディング対策の項目の中で紹介しているように英文解釈の勉強法に関する別記事が詳しいですが、そもそも英語の勉強に自信がないので一番簡単なものから取り組みたい、というならば、以下の英文読解入門ドリルをお勧めします。SとVを取るという、読解の基本動作でありながら学校の英語学習では蔑ろにされることが多い部分を、徹底して練習をするためのドリルです。

リーディング対策

「読み込む」長文問題集を使って、読解の基本的態度を養う

構文把握を行って一文の解釈が正確にできるようになるのは、スピードを要求される共通テストのリーディングにおいても重要です。なぜなら、そもそも一文が言わんとする内容が正確に理解できないものが、全体として何が言いたいのかわかるはずがないからです。

しかし一方で、一文が訳せた、何を言っているかわかったところで、文章全体の要旨がわかるとは限りません。母語での論理把握力に依存しているため個人によってかなりのばらつきがあります。これを、なるべく一定以上の水準に上げて行かなくてはいけません。

このために行うことが、論理展開・状況展開を把握するための方法論を学び、それを練習して習得していくことです。

論理とはここでは相手に説明をするためにわかりやすく伝えるための最低限のルールや作法、ぐらいの認識で説明しています。

不思議なことに、「日本語訳をひたすらやってそれを覚えていけば文章の内容がわかる」と思っている、または思っているとしか思えない読み方(読んでないですが)をしている人がかなり多いんですよね。日本語の文章(例えば現代文の評論文)や会話でそんなことしている人がいたら、この人ちょっとおかしいな、と思うはずなんです。でも英語ではそれをしてしまう。

言葉にはルールがある(中学校で、日本語の文法は習いましたよね?あれは意味があるんですよ)ので、それにしたがって主張を行おうとすると、そのためにいくつかの要素が必要で、さらにそれらを並べるいくつかのパターンがあります。接続表現なり、主張を行う表現、理由や根拠を説明する表現などに注目することで、自分の母語の論理展開把握能力も向上できます。

例えば、対比の部分で筆者の主張が現れることが多いとか、断定的な判断を行った場合にはそこが主張で、その前後で根拠が展開されているなど、様々なヒントが文章中に現れますし、英語の場合はそれが単語レベルで見えることも多いので、こうした技術を習得しない手はありません。

そのため、私が英文解釈の学習法でお伝えしているような一文読解の参考書問題集に加えて、英文全体の主張を読み解くための、論理展開の典型パターン、及びその論理展開に使われる表現について学ぶ機会を作りましょう。 

おすすめの問題集は、少数の長文(と言っても12個あります)を、早いスピードで、展開を把握し内容までわかって読めることを目標とした、ぐんぐん読める英語長文です。レベルに合わせてもらって構いませんが、基本的に〔BASIC〕からやることをおすすめします。

読みならすための教材を用意して、毎日読む

読解の手法を身につけた上で、どんどん読んで趣旨を把握していく練習をして欲しいのですが、普通の英語長文の問題集は、以下の理由で、なかなか共通テスト対策と割り切ることが難しいです。

  1. 内容把握と関係ない問題が多い
  2. 記述で説明させる問題が多い

もちろん、これらの問題は長文読解の方法論を学ばせるために必要なものであるため、これがあるからダメ、と言っているわけではなく、共通テストのシミュレーションにはならない、ということを言っています。

もし、内容把握以前に英語長文の演習量に不安があるのならば、まずは入門的な英語長文の問題集は数冊はやっておく方が良いでしょう。

では、どういった長文の問題集が共通テスト対策になりやすいかというと、

  1. 1つ1つの長文がそこそこ長め(300〜600単語程度)
  2. 内容把握型の設問に特化している(和訳や説明型の設問がない)

の2つが必須です。これらを満たす共通テストレベルの長文問題集は、

  • 英検2級のリーディング問題集
  • 秋ぐらいから出てくるはずの各予備校の予想問題集

これらが該当するでしょう。ただし、こうしたものでガンガン演習していく前に、なるべく基礎的な英語長文の問題集を1冊は実施してから行ってください。事前に学んだ英文法の知識や英文解釈の技術がゆっくりとで良いので実践できるかどうか確認してください。

以下は、最低限これぐらいのレベルはやってから取り掛かって欲しいという問題集の一例と、英検2級のリーディングのみの問題集を紹介しておきます。 

難関大志望者については、欲を言えば

  • 自分の受ける一番難しい英語の入試問題レベルの語彙や内容に対応したレベルのリーディング問題集 

が欲しいです。この場合、難関大学志望者は、英検準1級のリーディング問題や、早稲田の英語の長文パートなどの、内容一致問題だけの長文が適当になってくるはずです。

なぜ、こうしたレベルのもので練習して欲しいかというと、センター試験時代もそうだったのですが、センター形式と難関大レベルの英語だと、語彙もそうですが型式が全然違うので、どうしてもセンター独特の対策だけをせざるをえませんでした。

しかし、共通テストでは内容一致(表現の趣旨が同じ)問題が中心になるために、語彙レベル内容レベルが違っても、読んで理解して要求された形で答える、という取り組み方を崩さずに済むようになりました。そのため、なるべくギリギリまで、読解スピードや内容把握トレーニングを積む際にも、本番と似たような難易度のリーディング問題で練習して欲しいです。

基本的に、千葉大・筑波大・横浜国立などの準難関大学以上で英語が必要である場合には、英検準1級レベルのリーディング問題で練習しておくほうがよいでしょう。英検に合格する必要はありませんが、ついでに取れるぐらいやり込んでおけばさらに有利に運べるでしょう(準1取得だと、私大で優遇措置がある場合が多いです)。

リスニング対策

大前提:自分で発音できない音は聞こえない

本番では、短い会話、長い会話、そのどちらも140wpmという、ナチュラルスピードで発話されます。中学レベルであったような、不自然なほど無茶苦茶ゆっくり話されることは、ありません。

そのため、実際に発音されるように、自分でも音読練習をしておかなければ、音と文章が結びつきません。必ず、自分の発音やアクセントの付け方を、実際に読まれるレベルまで高める練習を行ってください。演習した問題のスクリプトを確認しながら、実際に読まれている音の真似をするなどで良いでしょう。以下の手順で復習するのが効果的です。

  1. 問題に取り組む→正誤判定をする
  2. 適当に選んでしまったものも含めて、まずスクリプト(読み上げられた音声を文字にしたもの)を確認し、それなら答えられるかどうかを確認する。
    答えられる→3以降の復習に移る/答えられない→文法や単語などわからない英語の基本ルールを復習してから、3以降の復習に入る
    (以下の復習は、自分の実力に合わせて調整してください)
  3. スクリプトを見ながら音声を聞いてみる。聴き逃した音や、スクリプトを読んで思っている音と異なる部分をチェックして、音声と綴りのズレを修正していく。
  4. スクリプトを見ながら、音声の「真似をして」音読する
  5. スクリプトを見ずに、音声だけを聞いて聞き取れるか確認する。音だけを聞いて音読もしてみる。

以下にはよくやりがちな、成果のでない音読例を挙げておきます。

  1. 単語単位ではっきり発音
    (弱く読まれる単語や前後の単語同士の音のつながりを無視)
  2. 音を真似しない、あるいは1回読んだだけでおしまい
    (最低20回、できれば30回以上は発音しないと真似できない)
  3. 問題の場面を考えずにボソボソ言うだけ
    (嬉しい時は嬉しそうに、悲しい時は悲しそうに聞こえます)

会話「表現」はそこそこでよく、むしろ典型的な文法構造を耳で聞き取れるかが問題

リスニング、と聞くとやりがちな対策が、会話表現をたくさん覚えて…となるのですが、それもそれなりに重要です。対策本に載るような基本的な会話表現は覚えて自分でも発音できるように練習しておきましょう。

もっと重要度の高いものが共通テストのリスニングには存在します。それが、耳で聞いた時にも、英文解釈の場で学ぶような文法構造が意識できるかということです。

もちろん、書かれた文と違って、前から聞いていくしかないのですから、読み返し(聞き返し)が絶対に必要であるような、複雑すぎるものは出ません。ただ、通常の文と比べて文構造や役割が変わってしまうような、倒置が発生する表現や、強調構文、修辞疑問文、付加疑問文など、注意して判別できるようにしなくてはいけない表現が存在します。単語がかろうじて聞こえるレベルでは相手になりません。

このため、なるべく総合英語の本などを活用して、例文を聴いて、かつ音読しておくなどして、聞こえてきた英文の文構造が理解できるように練習しておきましょう。

聞きならすための教材をどう選ぶか

文法面のリスニング対策問題は、流石に各予備校が工夫を凝らして用意してくると思います。例文音読に励みつつ、夏以降に発売される予想問題集を待ちましょう。

長いリスニングは1回しか読まれず、難易度が高くなりますが、基本的には同様に1回しか読まれない問題を使って、内容把握の練習をやっておけば良いです。具体的な教材としては、英検2級レベルのリスニング、または志望大学の語彙レベルに合わせて英検準1級レベルのリスニングがちょうど良くなるでしょう。長めのリスニングは、過去のセンター試験英語リスニングの3番・4番を1回だけしか聞かずに練習するのも良いでしょう。

そして、やってみると、人によっては以下のような工夫や対策が必要だと感じるかもしれません。1回きりなので、メモする余裕はありません。どんどんやってみましょう。

  • 聞く前に問題と選択肢をある程度把握し、聞こえてきそうな表現を予測する。
  • 問題がそもそも長いので、聴き続ける体力が必要。

リーディングがある程度進んできたら、1日数問ずつで良いですので、リスニングも練習を開始しましょう。

まとめ

共通テスト英語の形式紹介と対策紹介をしました。

基本の英文法を一気に学習して、読解対策をしながら文法も復習、ある程度長文読解の手順がわかってきたら、毎日練習を行って、素早く読む・聞く・理解できるよう訓練しましょう。

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