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学校で配られた数学の教材は「多すぎる問題量」に要注意!チャート式、フォーカスゴールド、ニューアクションレジェンド……

学習法や進路選びの専門塾・ドリームラーナーズです。鳥取県倉吉市にある教室を自習室として開放しているほか、県外の受験生のリモート指導にも対応しています。現役生から浪人生、仮面浪人や自宅浪人など様々な受験生に対応可能です。

学校で配られる教材は各科目でそれぞれあるものの、数学については、数研出版・東京書籍・啓林館が採用されることが多いようです。特に、数研出版のシェアが圧倒的です。授業で使用されることが想定されている教材は「教科書傍用教材」と呼ばれています。

数学の教科書傍用教材は2種類の問題集を配布している学校がほとんどです。1つが計算練習を目的とした問題集。公式の利用や式の展開など素朴な内容です。4STEPや3TRIALなど数研出版の問題集が代表とされています。

もう1つが入試問題の演習を目的とした教科書傍用教材です。例題と演習を1セットにした構成が一般的で思考プロセスに磨きをかけることが狙いです。素朴な計算練習とは異なる取り組み方が求められます。数研出版からは細かく難易度が分かれた教材が出されている一方、啓林館のフォーカスゴールドや東京書籍のニューアクションレジェンドは、基礎問から難問までまんべんなく掲載されており、全レベルに対応しているといった特徴があります。

数学の教科書傍用教材はいずれも網羅性に優れている点が特徴的です。学校で配られた教材を使えば、高校3年間の範囲は全て対応できます。ただ、教科書傍用教材を熱心にやれば志望校合格を果たせるか?といえば、そうではありません。今回は、数学について教科書傍用教材の活用法のポイントを解説します。

《教科書傍用教材の正しい使い方について》 英語化学歴史(世界史&日本史)

教科書傍用教材"だけ"では「受験に必要な力」が身につかない理由

数学の教科書傍用教材の使用にあたって受験生にまず伝えたいことがあります。「受験勉強に教科書傍用教材を使ってはならない」という原則があります。

数学では教科書傍用教材は、問題数が多すぎる割に、単元ごとの出題が中心のため受験勉強の練習が十分にはできないということです。単元ごとに出題される構成は、学校で学ぶ内容を予習したり復習したり、授業を前提とした活用法に合わせて作られています。つまり、数学の教科書傍用教材は、授業のために使う程度の感覚を持つようにしてください。

しかし、身近な教材として目に付きやすい教科書傍用教材を、3年生になってから熱心に取り組む受験生が後を絶ちません。正直な話、膨大な問題を淡々と解き続けるのは時間の無駄です。一刻も早く、志望校の過去問演習に移りましょう。

入試問題では、出題内容が属する単元を特定するステップも、学力が試されるポイントです。単元ごとに出題される教科書傍用教材では、単元を特定する練習ができません。これが教科書傍用教材よりも過去問演習に時間を使ってほしい理由です。

出遅れた受験生は数学の苦手克服をどうすればいい?

3年生になるまで勉強に本腰を入れてこなかった受験生のなかには、「教科書傍用教材すら難しくて分からない」という生徒もいるかもしれません。まずは教科書を読んで、遅れを取り戻すステップを踏んでほしいのですが、あわせてオススメしたい参考書が「松田の数学」シリーズです。教科書に書かれている基礎的内容からの“橋渡し”に相当する教材として推奨してきました。

松田の数学 I・A/II・B典型問題Type100
(東進ブックス 名人の授業シリーズ)
松田 聡平  (著)

入試によく出る問題を、タイプ別に分類して分析していくという構成です。「教科書に書かれている内容を、こういうふうに理解してほしい」と、入試問題を解くさい教科書の知識をどのように活用すればいいか?が解説されています。

参考書が優れているのは文章の省き方にあります。懇切丁寧な記述を特徴とする参考書も世の中には多々ありますが、読者が頭を働かせる余地が少ないので“分かったつもり”に陥りがちです。

一方、「松田の数学」は、常識的な記述は可能な限り省いて簡潔な記述がされています。シンプルな記述によって生じた”間”が、読者の思考を促すのではないかと私は考えています。数学に限らず、「ほどほどに不親切な参考書を選ぶ」という視点を受験生には持つようにしてほしいと思います。

共通テストで求められる”数学の”読解力を鍛えるには?

この記事の本筋からは少し外れますが、市販の教材を紹介する流れで、共通テスト攻略に役立つ秘策を紹介したいと思います。

数学の共通テストを攻略するうえで、ポイントとなる学力の1つが「読解力」です。共通テストでは長い文章を読み解いて、問題の要求を見極めながら、ヒントをきっちり拾っていく技術が問われるからです。

そのため、専用の教材を使った共通テスト対策が必要になるというわけですが、「読解力」にスポットを当てた教材は稀少です。当たり前のように、どちらかというと数学的知識の理解度にフォーカスが当てられています。 

そこでチャレンジしてみてほしいのが、公務員試験の「数的推理」の問題集です。出題されている内容の数学のレベルは、それほど高くはありませんが、逆に読解力が磨かれます。

公務員試験 新スーパー過去問ゼミ6 数的推理
(公務員試験新スーパー過去問ゼミ)
資格試験研究会  (編集)

「共通テストの問題文を勘違いしがち」など、読解力に関して悩みを抱えている受験生は、公務員試験の数的推理対策を学習内容に導入すると解決の糸口を掴めるかもしれません。

問題演習の前に「教科書」をきちんと理解しましょう

今回、数学について教科書傍用教材の活用法を解説しました。

 

苦手意識を自覚している受験生は、がむしゃらに問題演習を繰り返す以前に、教科書の復習から着手してほしいと思います。かみ砕いて説明された参考書の文章ではなく、過不足なく知識が詰まった教科書の文章を理解することが大事です。

 

一刻も早く高度な内容に取り組みたい、と焦る気持ちもわかりますが、基礎知識がない状態で問題演習に取り組んでも、穴だらけのザルで水を掬うような状態です。“急がば回れ”の気持ちで、今必要な勉強を一歩一歩進めてください。

 

先の見えない状態で地道な勉強に取り組んでいると焦る気持ちが募ることがあると思います。学習が必要な範囲を過大に捉えていると、陥りがちなメンタルの悩みです。しかし、中堅国立大を受験する生徒が、難関大相当の問題を解けるようになる必要はありません。実現可能な志望校を明確にすると学習範囲が絞り込まれるので気が楽になると思います。

 

ある程度の“伸びしろ”をふまえて、無理のない目標設定は受験生自身ではなかなか難しいの、ではないでしょうか。身近な相談相手がいない場合、受験生を対象とした学習コーチングサービスを利用してみるとヒントが得られるかも知れません。ドリームラーナーズでもご相談を承ることができます。初回相談は無料で始められるので、まずはフィーリングの相性を見極めていただけばと幸いです。

 

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