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英文解釈の学習法(概論)

英文解釈は、学校ではほぼやらないという高校生は多いでしょう。先生方も、SVOCがどう振れるかの結論は教えても、それがどういう思考過程でそのように決まるのかはほとんど教えてくれません。生徒側もそこまで気にしていないというのが現状です。だから英語ができるようになる生徒はほんの一握りになってしまうわけですが。

学ぶこと:読む時に、英文法の知識をどう活かすか

英語は生まれはイギリスですが、ヨーロッパやアメリカ大陸では様々な戦争や民族交流があり、多文化共生の中で育ってきました。そのために、様々な文化背景の人たちとでも意味をやり取りできるように、英文法というルールがあります。発音やアクセント(訛り)などは地域差がありますが、英文法のルールという点ではどの地域もほぼ同じです。

そのため、英文の中で使われている英文法が把握できなければ、意味内容を理解することはできません(これを読んだ大人の方は、何を当たり前なことを、とおっしゃるでしょうが、あなたの若い頃がそうだったように、高校生たちは、当たり前のことについてほとんど何もわかってないですし、少なくともなぜそれを学ぶのかなど、理解してないのですよ。理解する必要があるかどうかはまた別ですが、あなたたちも、こうした大切なことは、事後的に学んだのではありませんか)。これでは、相手の言いたいことが受け取れないばかりか、自分が言いたいことも言えません。コミュニケーションに使うのが目的の「ことば」のはずなのに、そこの練習や、考え方のインプットが致命的に欠けているわけです。

ですから、どのように文中で使われている英文法を捉えるのか、そのやり方を学んだり自分で編み出していく必要があるわけです。慣れていくと、以前はどのように英語を読んでいたのか思い出せないぐらいになっていきます。ここまでくると、英語も難しい問題に挑戦するやりがいが出てきます。

当然ですが、英語にも、日本語と同様に「察し」を要求する表現(ジョークなど)はありますが、大学入試で出てくるような論文・説明文に関しては、そういったことを読み取らせることはほとんどありません。あったとしても、(その大学を受験して合格してほしい学生にとっては)想定の範囲内に留まるでしょう。例外ばかり覚えても実力養成には役に立ちません。

文法の理解もより深くなる

英文法を使いこなすために、英文法そのものに対する理解も、より深くならざるをえません。英文解釈の学習は、英文法の強化にもつながってくるので、英文法がある程度学び終わったらなるべく早く英文解釈に入って欲しいのです。

英文法の問題だって、「その文章でどんな英文法が使われているか」を把握する問題ですから、広義の読解とも言えるでしょう。英文法の学習法(概論)で何度も強調したように、説明可能にするまで英文法を覚える理由は、まさにこの英文解釈=読解の段階で活きてくるからなのです。

マクロな読解(段落全体の意味解釈)は別です

ところが、英文解釈の学習が進んでも、英語長文で点数が取れない、という生徒は比較的多く出てきます。これには理由があり、すぐには解決しないので、とりあえず学習を進めてもらうことがほとんどです。

一方で、英文解釈の考え方が発揮できるようになると、それまで英語の点数が取れなかった生徒が見違えるような点数を取ったりもします。実はこれも、同じ理由からくる現象です。

どういった理由かというと、一文一文は読めても、長文が読めたり読めなかったりすることの問題は主に本人の「国語力(母語での内容把握力)」だからです。

「訳」ができても、「意味」がわからない現象

本人の国語力が、国語はもちろん他教科の学力の頭打ちの原因となる場合があります。国語力は論理を把握する力や、抽象的な内容を理解する力と密接な関係があるので、年齢と共にある程度は成長していくものですが、その考え方について日本の教育課程ではほとんど学ぶことがないので、かなりの部分が個人差(才能、とか、センス、とか呼ばれます)に回収されてしまうのが悲しいところです。

ここまで来て、英文の読解レベルが上がっていかないと痛感する場合には、英文のレベルを無理に上げずに、一度国語の学習(特に、各種論理力トレーニングを用いた「論理把握」の練習をすることが大切です)を進めてみましょう。

【注意】英語ができる人の中には、国語(言語処理が上手)ができるだけの人もいる

また逆に、英文法や英文解釈の作法があまり形になってない(説明できない)人でも、不思議と英語ができることがあります。そういった人たちは、英文の中で断片的に理解できている内容から、筆者の言いたいことを、かなり妥当なところまで推測する力があるのです。これは国語力(抽象度の高い話を正確に理解する力)の賜物です。

中学レベルの英語だとなんとかなる人が多かったのは、まさにここが原因で、公立高校入試のレベルでも話の内容がかなり簡単なので、多少の国語力があればなんとかなってしまった、というわけです。そして、高校レベルになり話の内容が難しくなってくると、同じようにはできずに撃沈、しかし高校入試はうまくいったと思っているので勉強法を変えられずに、底無し沼にハマっていくのです。

上級者の言うことを真に受けない

このため、上級者の中には「英文法などあまりわかってないけど、英文の意味はわかるし和訳も問題なくできてしまう」という謎のファイターがいます。概して彼らは、勉強法はものすごく適当でもなんとかなってしまうのです。

誰もが、こうした絶大な国語力があるわけではありませんので、こうした人の勉強法を真似してはいけません。先輩や同級生から英語のアドバイスをもらう際には、こうしたことに注意してください。この人は単に言語能力に長けているだけではないか?と。

具体的な学習方法

一文の解釈と、長文の内容解釈を、区別する

長文の内容解釈(マクロな読解)は本番で差がつく

マクロな読解は、一文読解とは別の技術です。私大中堅レベルの英語長文なら内容もそこまで難しくないので、一文読解のみで対応できてしまう大学も少なくありません。

しかし、国公立の中堅レベル以降、英文の内容自体が難しくなってきます。さらに、内容説明問題や、長文の内容を前提とした和訳問題など、全体の要旨を把握しなければ正確な解答ができない場合が多くなってきます。

このため、現代文と同様に、論理展開の正確な把握が必要になってきます。そのために、パラグラフリーディングの手法や、ディスコースマーカーの把握といった、長文の主旨を素早く正確に把握する方法論を学び、それを素早く実践する訓練を行いましょう。

一文読解は2タイプの参考書

一文読解の英文解釈の参考書は以下の2タイプに分かれます。

  1. 例文を和訳することを通じて、読解法の矯正をしていく
  2. 演習問題はあるが基本は講義中心の、読むタイプの参考書

どちらが良いかは、学習段階だとか本人の英語(というか言語全般)に対する認識にもよりますが、迷うようなら、最初の1冊目は「まず和訳して、読み方を矯正していく」問題集タイプの本をオススメします。なぜなら、和訳ぐらいだったら誰でもやったことがあるのでとっつきやすいからです。

一文読解の方法論を学ぶ(最優先)

和訳実践型の問題集

高校の英語科の先生はだいたい大好きな、竹岡先生(代表作:ドラゴンイングリッシュ)の英文解釈の入門書です。この本の英文を、筆者と同等のレベルで説明できるように各ポイントを覚えて練習し、自力でSVOCを振り英文解釈を説明可能にすることで、中堅大学まではこの一冊で十分なレベルまで引き上がります。あれもこれもやりたくない、という人はこれに拘って何度も繰り返し、自力で説明できるレベルを上げていくのが良いでしょう。

基本的な英文の構造は見えるようになっているが、国公立中堅大以上の和訳や内容解釈で差がつく、基本的なものの複合技への対処を学ぶのはこのレベルの書籍です。方法論を学ぶための例文は60個しかないため、入門からの接続にはうってつけです。国公立大の中堅〜難関大の和訳が必要な場合にはここまで仕上げましょう。

キツイ和文英訳が出てくる、京都大学などの難関大学を目指す人専用の仕上げの問題集だと思ってください。基礎ができていないとこの本をやるのは苦しいので、他の英文解釈の問題集や参考書をやり込み、ある程度難しい構造の英文に手が出せるようになってから挑むのが良いでしょう。

講義系の参考書

長年英語講師で活躍され、師のウェブサイトでは大量のテキストや問題集をプリントで配布されている山下りょうとく先生の英文読解の本です。他の本では大前提としがちな、超基本的読解項目について網羅度がかなり高く、しかも重要な英文法の説明も簡単にしているので英文法の学習を進めながらとか、基礎レベルだけでも終わらせたらすぐにでも入れるのがこの本の特徴です。

スタディサプリの関先生の英文読解の本です。多くの受験生が苦手とする倒置やasの判別などに多くのスペースを割いており、中堅大を目指す人にとってはちょうど良い参考書と言えます。到達レベルはそこまで高くありませんので、難関大学を目指す人は上のレベルの参考書へ進みましょう。

私が英語の勉強で非常に強い影響を受けた富田一彦先生の英文読解の本です。英文解釈教室と一線を画すと思うポイントは、読み解く「手順」を非常に明快に示している点、意味内容の把握に必要な思考を精密に説明しているです。特に、英文法はある程度できるし、英文はある程度読めるけど、自分が何をしているのか説明できないなあ、という人ほど、非常に強い衝撃を受けると思います。

ビジュアル英文読解構文把握編は、英文読解100の原則(または師の英文読解の講義)の話が前提となっている問題集ですので、英文読解100の原則(上・下)→ビジュアル英文読解構文把握編の順番で進めましょう。

ベストセラーでありロングセラーである、伊藤和夫先生の英文解釈教室です。講義をそのまま本にした様子ですが、非常に硬派であり、現代の高校生たちが読むにあたってはタフではあります(富田先生の本も大概ですが、そこは好みです)。感覚でやっていた英文読解を高いレベルまで引き上げるにはうってつけです。

オススメの順番

英文法の学習がある程度済んでおり、入試本番までに時間があることを前提にして選ぶのならば、

  1. 英文入門問題精講、全英文の説明を自力でできるようにする
  2. 関先生の英文解釈の本で、倒置やasの判別、強調構文の見抜きなど細かいところを理解していく(時間がないならここまで)
  3. 富田先生の英文読解100の原則で、これまで習った内容をさらに使いやすくする手順と考え方を学んでいく(長文読解がメインの大学ならここまででOK)
  4. 国公立などに向けて和訳の練習をしたい場合、ビジュアル英文解釈構文把握編に進み、残り時間は志望校の難易度に合わせた最終対策をする

という手順をお勧めします。もちろん、自信のある人は、英文読解の透視図や英文解釈教室1冊で全てを完結させるのもありでしょう。最終的には自分で決めれば良いです。

速読・多読を忘れずに挟もう

英文解釈の最初の一冊の1周目が終了した段階で、英単語の暗記法(初心者向け)に記載したように、ある程度の長さ・難易度の英語の文章を「シャドーイング」で意味が理解できるまで到達させましょう。

こうすることで、読みながら(聴きながら)英文法を判断するスピードも上がり、英文読解のスピードが飛躍的に上がっていきます。ここを忘れてしまっては、画竜点睛を欠きます。

まとめ

英文解釈の学習は、英文解釈そのものを学ぶことと、自らの論理把握力を鍛えていくことを同時並行で行うことが重要です。

単語や英文法など単発知識の復習も必要に応じてどんどんやってください。この段階までくるとそこそこ英語が読めるようになってくるので、自分はできると調子に乗ってしまい、単語や文法の学習が手隙になってくる人もよく見ます。自称中級者の完成です。

そこから脱出するために、仕上げに必ずシャドーイングを入れましょう。そうすることで、単語・文法・英文解釈の総合力を、実際の読解の場面で発揮できるよう練習を重ねてください。

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