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英語の学習法(2024年更新版)

ここでは英語の勉強法について概論(全体像を簡単に説明すること)を述べていきます。

英語は、以下の3つを並行して学習する必要があります。これらを学習する目的は「英語の基本ルールの徹底」をやってもらうためです。

  1. 英文法→英文解釈
  2. 語彙・語法・熟語
  3. 多読

英文法「だけ」、語彙「だけ」、長文「だけ」といった、いかにも勉強と称してやりそうなことは絶対にやめましょう。

そうして、英作文は、早期に始められるならこれらと並行して、そうでないならば、多読がある程度こなれてきて、読解のための英文法アウトプットができるようになってから、英作文の学習に入ってください。

まずは英語の基本ルールを徹底するための「3つの要素」を説明していきます。

英語の基本ルールは、文法・語彙・語法に宿る

英文法の理解から始め、暗記と運用を並行する

まずは英文法をやり直します。英文法は基本ルールの根幹なので、「当たり前」です。

品詞、文型、句や節、と言った文法用語も正確に覚えてもらいます。

どれほど腕に覚えがあっても、英文法を使って普段英文を読んでいないのであれば、次の2冊から始めてください。特に、英文入門ドリルは、簡単だと思うのであれば、並び替え部分だけではなく、「一文全体」の意味がとれるかを確認しながら、ドリルを進めてみてください。

きっと、知らない表現、よくわからない文法が(たくさん)出てきます。解説にはそういった文法項目が基礎のどの項目で扱われるのか、と言った発展部分まで記載されていますので、この2冊を「総合英語=文法を網羅した書籍」と並行することで、読解に必要な基本的な英文法の復習は終わります。

「総合英語」とは、Forest、VisionQuest、ゼスターなど、さまざまなものがあります。学校で配られているのなら、それでOKです。学校で「総合英語」を配られていないならば、次の書籍を買い求めてください。

英文法を学ぶ理由は、どうして英文がその意味になるのか、という説明ができるようになるためです。意味がわからない英文法を使っている英文は、その英文の意味が理解できるわけがありません。そのため、

  1. 説明を学ぶ(単元ごと→単元横断)
  2. 実際の英文や文法問題で説明をしてみる

という手順が必要ですが、なぜかほとんどの場合、いきなり問題を解き始めるため、何も理解しないまま、次から次へと忘れていく、となりがちです。問題を解く前に、まずは英文法のメカニズムを理解するところからはじめよう。

もう少し、英文法を強化する必要がある場合(私大受験など)

今の英語の花形は読解問題であり、多くの英文法の問題も、基本的には読解の延長として対応できる(普段英語を読んで考えることを、英文法・語法の問題でも適用していけば済む)ので、わざわざ個別の英文法問題の対応をする必要は、正直あまりない。

特に、このページに行き着く学生のほとんどは「国公立大志望」の上に「共通テストでしか英語を使わない」はずで、それを想定した記事に仕立て上げている。

だが、まあ「英文法」をもっと精密に仕上げたい、という要望が受験校次第では起こるであろう。そのために、数冊だけ、そうした「英文法をより高いレベルで仕上げていく」ための英文法・語法の問題集を提案しておく。必要に応じて(志望校に応じて)使うように。なお、よくありがちな、問題が左、解答が右、スペースの都合のため圧縮した解説しかしていない、ような問題集は紹介しない。「学習用=インプット用」としては使いづらいからだ。

語彙習得はレベルに合わせて行う

英単語について、次の2段階は、どこを受験しようと必須の内容です。そのため、まずこのレベルの英単語が頭に入っていなければ、それらを暗記するところから始めてもらいます。

  1. 中学レベル1800語の単語・熟語を覚えて書けるようにする
  2. 高校レベル2000語の単語・熟語を読んでわかるようにする

ここから語法や熟語の知識などにも派生するので、基本的な英単語を確実に、瞬時に出るように練習しましょう。高校レベルは(はじめのうちは)読んでわかればOKです。

確かに、高校レベルも、書けるに越したことはないですが、まずは中学レベルの英単語・熟語が書けるかどうかをチェックしてください。英検2級程度でも、中学レベルの英単語だけで合格レベルの英作文は書けます。

英単語の場合は、単語帳を持っていない、という人は少なくないですが、どのように覚えるか、については全く無頓着な受験生が多いです。脳は必要のないと判断した情報はどんどん忘れていくので、脳に重要だと思い込ませるような暗記をしていくことが必要なのです。

中学レベルの復習

高校基礎レベル

受験対応レベル(志望大によって適切に選ぶべき)

単語は高速で周回する

英単語の暗記は、覚えているかどうかのチェックが必要です。1日100語覚えればいいかとか、200語がいいかとか、時間に応じてできる量やれば良いだけで、そんな事はどうでもいいです。というのが、こうした質問してくる人たちは、100個や200個の英単語をただ単に眺めると言う事しかやらないからです。

「読む」のは暗記にはあまり貢献しません。「思い出す」ことが何より大事です。「思い出す」経験をたくさん積むためには、「思い出そうとする」ことが何より必要です。ですが、「思い出せなかったらどうしよう」と思うがために、「思い出そうとする」ことはとことん拒否されます。

しかし、「思い出そうとする」という負荷のかかることができなければ、試験場で1人問題の前で思い出すことは叶いません。そりゃそうです。当たり前です。そこを避けて生きてきた人にとっては地獄でしょうが、受験という世界ではそれが普通です。

大体、30分あれば100個の英単語を、覚えているかどうかチェックして、覚え直して、さらにもう一度チェックして、まだ覚えきれてないものを覚え直して、さらにチェックする、ぐらいはできます。

ほとんどの人が「1日に覚える英単語の数」は気にしてても、どうやって自分が英単語を覚えるか=どのように思い出そうとするか、といったところにはほとんど無頓着です。

眺めているだけで英単語が覚えられるようなら、全国の大学受験生がこんなに苦労してるわけがないんです。手で隠すなり赤シートで隠すなり、何度でも、素早く細かくチェックしていってください。

そしてそもそも、こうした英語の学習の初期の暗記は、英文法や、英文解釈の邪魔にならない位に覚えられていればまずはオッケーです。そのため、安心して中学レベル・高校基礎レベルからやり直しましょう。

というのも、英語長文の意味内容を理解するための勉強は、英文解釈の勉強が始まってからが中心になります。単に英単語を覚えるだけでなく、「語法」=言葉が持つ特有の使い方のルールを覚えていかなくてはいけないからです。例えば、次のようなものがあります。

  • 動詞がどの文型を取るか(〈SV〉〈SVC〉など、動詞によって決まる)
  • 動詞なら、目的語や補語にどのような種類の言葉がくるか
  • 動詞なら、活用形(不規則活用、中学レベルのものは覚えてますか?)
  • 名詞なら、意味による可算不可算の違い/複数形の形
  • 品詞を変化させるために、どの接尾辞を取るかどうか
  • 意味を変化させるために、どの接頭辞を取るかどうか
  • etc...

そのため、いきなり最初からたくさんの意味とか、派生語とか、同じような意味の英単語の違いとか、覚えまくっても、ある程度までしか使い物になりません。

覚えるな、とは言っていません念のため。覚えてください。

英文法・語法の演習の中で、そうした多義語とか、似たような単語の違いとか、派生語とかを覚えていくことになるので、最初から、覚えた端から完璧にする必要はありません。

英単語暗記の学習法の概要と該当ページへのリンク

英文解釈をないがしろにする受験生たち

そして、この項目こそが最も重要なのですが、ひたすら長文の問題を解いたりするよりも、英文解釈の本で、英文法を読解に応用する手順を学んでいきましょう。

文章中の英文法を完璧に見抜くには、相当な訓練が必要です。そもそも英文法をあまり理解していないレベルから大急ぎで受験勉強を始めた人などは、こうした訓練が足りているはずもありません。

英文中の英文法を見抜くための考え方を学び、実際に複雑な構文の例文などを使って練習していく必要があります。

ここをそもそもやらない受験生が数多くいます。学校の授業でもやらない場合が多いです。時期的な問題もあるとは思うのですが、英文法を一通り復習した後、それを説明可能にする練習もかねて、必ず解釈に取り組んで欲しいです。

多くの受験生がやりがちな、単語だけ覚えて、なんとなく単語の意味を拾って並び替えるだけでは、文の意味はおろか、文章の内容が理解できずに、ついていけなくなります。

英文解釈=英文法のアウトプットの形の1つ

このように、英文法・語彙・語法と言った、英語の基本ルールの根幹を、十分に活用し切るためには、猛烈な訓練が必要です。これを聞くと「そんなに英語だけに時間をかけられません」と真顔で言うマヌケがとても多いのです。マヌケとは失礼な、と思った人、いや、確かにマヌケなんですよ。

と言うのも、君が現役生なら、英語の授業が週に5〜6コマ、予備校生でも同じぐらいはあり、それら授業の予習・復習において、当然「英語」は扱っているわけですから、英語の基本ルールを適用する練習なんか山ほどできるはずです

この、通常の授業の予習・復習の時間で、「英文解釈」的な読解方法の実践が全くできてないとすれば、そのこと自体が問題です。まずはそこから改善するべきでしょう。いくら時間がかかっても、最初からそれをやってこなかったツケなのですから、甘んじて受け入れ、英文解釈の動作が当たり前にできるように努力しましょう。

英文解釈の練習は、手を動かして、日本語訳まで行う

さまざまな英文解釈の本があります。問題集もあれば、講義中心のものもあります。

君たちが受験生・浪人生であれば、私の指示通りに、「英文法」「語彙」から始めてもらった人には、それらを進めてもらった上で、基本的には「和訳中心型」の問題集を薦めています。

と言うのも、和訳中心型であれば、英文の構造を取りながら、その和訳があっているか(そのために判断した構文があっているか)どうかを確認しながらできるからです。

英文を読むために「手を動かす」のはとても地味で、時間がかかることです。ですが、手を動かす読み方をやらずに、「頭だけで、見ただけで」読めるようにはなりません。まずは手を動かして、構造をとって、日本語に直す練習をしてください。

入門ドリル→基礎ドリルと進んできた人が進む先は、以下の2冊です。

これ以上のレベルのものは、これらが終わってから取り組んでください。どれだけあなた本人が、自分は英語ができる、と思っていても、です。

1・2年生は講義系も併用する

君たちが1年生・2年生だというのなら、「講義系」の本を並行することを勧めます。

インプットしたことを、学校の予習復習でどんどん活用できるからです。演習系をたくさんやるなど、急いで練習をする必要があまりありません。もちろん、講義系の参考書とはいえ、読んでもらった上で手を動かして考える必要はありますが、そうした作業に対してインプット量が圧倒的に多いのが講義系の本です。早期にやるのであればこちらのタイプが最適でしょう。

講師によって説明の仕方が異なる(使う道具は英語なので同じ)ので、1人の講師が担当しているシリーズをやっていくようにしましょう。以下は一例です。

内容の解釈=論理展開の把握の訓練も、必要に応じて行う

こちらもなるべく「早期に始めたのなら早期に実施してほしい内容」です。

「文章の論理展開」を掴むための読み方を学ぶことです。文と文をつなぐ表現や、論理展開を司る副詞などに注目し、類比・対比・因果関係を明確にしていくのです。

もう少し簡単な言い方をすると「要点を押さえながら読んでいく」ということです。ただしこれは具体的ではないため、具体的なやり方は講義や本で学んでいく必要があります。

「要点を抑えるなんて分かりません」という人がいます。普段の会話や、日本語の文章を読むときに「一言一句書いてあることを覚えていく」なんてする人はほとんどいないと思います。ここに書いてある文章も、一言一句暗記しているわけではないと思います(そんなことは無理)。何を言っているのか、何についての文章なのか、主張は何か、なぜそれが必要なのか、など、「要点」を読み取っているのではないでしょうか?

ですが、なぜか英語だと、浮かんできた日本語訳を片っ端から覚えていけば内容がわかると思い込んでいる人が多く、大抵そういう人は「最後の方に行くと最初の内容を覚えてません」と言います。日本語で書いてあれば中学生レベルの内容ですら、です。ほら、そういう感想を長文読解をした後に抱いた人、全員対象ですよ。

正直、日本語でこれができている人は英語でも同じようにできるので、必須ではありません。しかし、おそらくこれを読みにきている人たちのほとんどは、日本語でも論理的に読むこと=書いてある通りに論理展開を読み取ることが難しいのではないでしょうか。

そのため、それを英語で練習してほしい、という思いがあります。長文読解をやりたいな、と思うのであれば、まずこれらを挟むことを検討に入れてください。

読解の総合力をつけるために、多読とシャドーイング

以上、英文法から始まって英単語・熟語、そして英文解釈と説明しました。しかし、これらの知識・技能は、ただ覚えているだけ、ただ理解しているだけ、ゆっくり思い出しながら説明できるだけ、では、現場での読解には役に立ちません。

自分の読む早さを測ってみてください。この記事を、必死になって読んでいる人の中には、おそらく1分間で100語を読める人はほとんどいないのではないでしょうか?

君たちのほとんどは、読むのが遅い

試験では時間制限があります(当たり前)。

時間制限内に読み終わるためには、難関大レベルでも1分間に100語程度読み進めていければ問題ありません。

共通テストになると、単語レベルは高校基礎レベルでも、1分間に120語程度の速度を要求されます。

これを鍛えるために行うことの1つが多読です。

共通テスト・センター試験の英語の過去問は、語彙レベルや長さがある程度一定であり、読むのに使いやすいです。入試問題だと、どこかの雑誌や論文から取ってきたものを出す場合が多く、入試標準のものを探すのが難しいです。

そのため、20年以上遡って、共通テスト英語筆記試験の長文パートの問題をかき集めて、1日に大問1つ分、またはパートに分かれているA,Bの問題を1つずつ解く訓練が夏頃から必要になってくるでしょう。

このレベルの多読がしんどいのなら、高校入試レベルからやってもOKです。

 

もう1つがシャドーイングです。朗読のスピードに少し遅れて音読できるようにすることで、

  1. 1分間に100語以上の文章を聞ける(スピード対策)
  2. 文章全体の意味がわかる(単語・文法・解釈の復習)
  3. 自分でも声に出せて発音がわかる(リスニング対策)

の3つのチェックがいっぺんにできてしまいます。英語はこうした総合力の確認+時間を意識したアウトプットを行わない限りは、どうしてもスピードで行き詰まってしまいます。

 

内容を把握することが長文では非常に重要なのですが、そのスピードを高める練習が必要です。これを、ただ読むだけではなく音声を使って行うことで効率よく進めていけます。

シャドーイングの練習法の説明と該当ページへのリンク

こうしたトレーニングを様々な英文を使って練習していきます。

この話をすると、いつも聞かれるのが、「長文の問題集をたくさんやったほうがいいんじゃないですか?」という質問です。いやいいんですよ、読むのが早かったら。もしくは、時間制限内に終わっていれば。

ほとんどの人は、そうした長文読解の問題集をやっていても一つ一つが読むのがものすごい遅いとか、読み返したりするのにものすごく時間がかかってしまうとか、そもそも内容があまり理解できなくて解説読まないとそもそもやってらんないとか、そもそも問題集に記載してある時間制限守ってないとか、本当にそれやってる意味あるんですか。

単語調べながら読んでやっているような課題ばかりやってて、本番を想定したような演習、練習を全くしないで本当にできるようになっていると思っているんですか?

本番では、

  1. 単語は調べられない
  2. 文法書を引くこともできない
  3. 内容について自分でまとめながら読み進めないといけない

こんなこと、普段から自分の頭だけでできるように練習しているんですか?

やる必要のあることがもっとあるんじゃないですか?

どうせ2度と繰り返さない長文の問題集を適当にやるよりも、少なめの長文を徹底的にシャドーイングができるまで、繰り返して、耳から聞いて、声を出して、そのスピードで理解できる練習をする方が、よっぽど英語の読解力向上につながります。

英作文は、これらの後です!

英作文はこれら読解の学習が進んでから始めてください。なぜなら英作文対策をしていくためには、英文法が分かっていないと効率が悪いからです。また、その際も、基本的には正しい表現を単元ごとにアウトプットできるようにやっていくタイプの参考書・問題集を選ぶのが良いと思います。

もし、時間の都合で、英文法の学習と並行してやっていきたいのであれば、英文法の単元別表現とリンクさせやすい以下のようなドリルが有効であると思います。

まとめ

英語は、以下の3つを並行して学習する必要があります。これらを学習する目的は「英語の基本ルールの徹底」をやってもらうためです。

  1. 英文法→英文解釈
  2. 語彙・語法・熟語
  3. 多読

英文法「だけ」、語彙「だけ」、長文「だけ」といった、いかにも勉強と称してやりそうなことは絶対にやめましょう。

そうして、英作文は、早期に始められるならこれらと並行して、そうでないならば、多読がある程度こなれてきて、読解のための英文法アウトプットができるようになってから、英作文の学習に入ってください。

 

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